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「YOUは何しに、EUROへ?」頂上決戦編
いざ本丸である、ベルギー本国へ入る。
先方は世界中9か所に事業部を持ち、1400名を超える従業員を抱える、世界的な企業。
私たちとでは企業規模が、月とすっぽんほど違う。
さて、どのような取組をしていこうか。
先回書いたように、マネージャーからは結構、全否定クラスの指摘を食らっている。
だから、Kitamura Makuraのヨーロッパ仕様を担いで入国した。
でも、結局は諦めきれず、ジムナストも帯同していく。
余談だが、TGVという高速列車の中で、欧州の寝具市場を見てきたリサーチをまとめていたら、
斜め後ろの男から、おもむろに声をかけられた。
何かと思ったら、「おい、【リサーチ】のスペルが違うぞ。」。。。「そこかい!」
いずれにしても、その報告書と共に、今回のために開発したサンプルのプレゼンをする。
異国のアウェイでのガチンコ総力戦。
使えるソース、アドバンテージは最大限に使い、少しでも優位になれる戦略を駆使しよう。
使えるソース、アドバンテージは最大限に使い、少しでも優位になれる戦略を駆使しよう。
日本人として日本文化を伝えなければと、1年ほど前から茶道を始めたが、
師匠に相談して、私でもできる、オリジナルのトラベル(野立て)セットを誂えてもらった。
あくまで、テンポラリーであることを強調しなければならない。
なので、このお点前は公にしないと、師匠と約束をした。
(守破離、守ってもないのに破ってはいけません。)
ただ、ひょっとしたらこれは茶の湯の本質に近い気もしている。
とにかく、まずは、これで距離を縮める。
商談もこの際、着物で行ってしまう。
ヨーロッパ人はスーツを好む。だから、私も一張羅のスーツを用意して乗り込もうと思った。
だが、信頼できる人に相談し、すぐに思いとどまった。
だが、信頼できる人に相談し、すぐに思いとどまった。
「【これは日本のフォーマルです。】と言えばいいよ。」
午前中の調査を終え、昼食後の雑談の中で、そのあとのスケジュールの話に。
「では、この後、もう少しショップを巡り、夕方ごろオフィスに行きましょう。」
「分かりました。」
ただ、内心、(まずい、このままではイニシアチブを握られ、おんぶにだっこだ。)
ただ、内心、(まずい、このままではイニシアチブを握られ、おんぶにだっこだ。)
で、そのときに意を決して、
「ところで、日本のお茶を飲んだことがありますか?よかったら、一服いかがですか?」
自分から言うのだから、この一言には、かなり勇気がいった。
幸いにも、彼らは、興味があると快く受け入れてくれ、一旦、ホテルに戻る。
師匠と打ち合わせたように準備をするが、手が震ってテンパりまくる。
この瞬間が一番緊張した。いろいろ説明しようにも、まったく言葉が出てこない。
もう開き直ったろ、と腹を決めて、スーパーボディランゲージで、
せっかくだから、シャカシャカ(茶筅でお抹茶を点てる)も、トライしてもらった。
せっかくだから、シャカシャカ(茶筅でお抹茶を点てる)も、トライしてもらった。
「あー、なるほど、オキシゲンを入れるようにやるのね、メレンゲ作るみたいに。」
「イエス、イエス」
「イエス、イエス」
できることは、やった。
いよいよ、ついに、満を持して、ようやく、その時がきたわけだ。
実は、彼らとも数社、一緒に回ったが、様子が少し変わってきた。
彼らは私たちの想いやストーリーをよく理解してくれた上で、
ファブリックメーカーである彼ら自身にも、メリットが得られる、あらゆる方法を探ってくれた。
もっとも難題が輸送コストだというのは、分かっていながら一番腐心している。
海外は、コスト意識がとにかく高い。
あるところで線引きしたら、それを絶対に超えないし、
逆に、そこが決まらない限り、話は一向に進展しないのだ。
例え、それが、まだ交渉の入り口段階でも。
その感覚は、どの外国人と接しても共通して強く感じる。
逆に、そこが決まらない限り、話は一向に進展しないのだ。
例え、それが、まだ交渉の入り口段階でも。
その感覚は、どの外国人と接しても共通して強く感じる。
しかしながら、今回、幸運にも現時点の結論は出ていて、私は商談で得た課題を持ち帰り、
新たな提案ができるよう、再び現場と一緒に開発を始めている。
まだハッキリと書くことはできないが、実現すれば、お互いWin-Winとなれる青写真を共有した。
「レジリエンス」という言葉を最近よく耳にするが、まさにこれが必要だと思う。
スッと高く伸びていくのではなく、いくつかの困難にぶつかるとき、そこには節ができる。
そうすることで、バランスを取りながら、粘り強くいられる。
このような経験ができるのは、今までのお客様のおかげだし、
長期間の留守を守ってくれる社員や家族の存在があるからこそだ。
本当に感謝しなければならない。
だからこそ、もっと飛躍していきたい。決して諦めない。
己を、商品を、仲間を信じて、一歩、また一歩と踏み出していきたい。
己を、商品を、仲間を信じて、一歩、また一歩と踏み出していきたい。
元気な「おはよう!」を世界に届けるまでは!
※実は帰国して数日後、さらに巨大な会社の傘下に入ったと連絡があった。
今後のプロジェクトの進展について懸念される。。。これも新しい「節」だな。
北村 圭介
株式会社キタムラジャパン
代表取締役
大正12年創業の枕専門メーカー「枕のキタムラ」4代目。曾祖父から伝わる経験やノウハウを活かし、眠りに対するキタムラのエスプリを枕にしています。枕屋4代目のブログ「まくろぐ」では、枕のことがメインですが、睡眠やモノづくり、マーケティングなど独自の想うことを書きます。