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「YOUは何しに、EUROへ?」頂上決戦編

2015年7月25日 14:13  その他

いざ本丸である、ベルギー本国へ入る。

先方は世界中9か所に事業部を持ち、1400名を超える従業員を抱える、世界的な企業。
私たちとでは企業規模が、月とすっぽんほど違う。
さて、どのような取組をしていこうか。

先回書いたように、マネージャーからは結構、全否定クラスの指摘を食らっている。
だから、Kitamura Makuraのヨーロッパ仕様を担いで入国した。
でも、結局は諦めきれず、ジムナストも帯同していく。

余談だが、TGVという高速列車の中で、欧州の寝具市場を見てきたリサーチをまとめていたら、
斜め後ろの男から、おもむろに声をかけられた。
何かと思ったら、「おい、【リサーチ】のスペルが違うぞ。」。。。「そこかい!」
ていうか、「パワポの文字チェック入っとるで、合っとるて!あんた、何人?」
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いずれにしても、その報告書と共に、今回のために開発したサンプルのプレゼンをする。
異国のアウェイでのガチンコ総力戦。
使えるソース、アドバンテージは最大限に使い、少しでも優位になれる戦略を駆使しよう。

日本人として日本文化を伝えなければと、1年ほど前から茶道を始めたが、
師匠に相談して、私でもできる、オリジナルのトラベル(野立て)セットを誂えてもらった。
あくまで、テンポラリーであることを強調しなければならない。
なので、このお点前は公にしないと、師匠と約束をした。
(守破離、守ってもないのに破ってはいけません。)

ただ、ひょっとしたらこれは茶の湯の本質に近い気もしている。
とにかく、まずは、これで距離を縮める。

商談もこの際、着物で行ってしまう。
ヨーロッパ人はスーツを好む。だから、私も一張羅のスーツを用意して乗り込もうと思った。
だが、信頼できる人に相談し、すぐに思いとどまった。

【これは日本のフォーマルです。】と言えばいいよ。」

午前中の調査を終え、昼食後の雑談の中で、そのあとのスケジュールの話に。
「では、この後、もう少しショップを巡り、夕方ごろオフィスに行きましょう。」
「分かりました。」

ただ、内心、(まずい、このままではイニシアチブを握られ、おんぶにだっこだ。)
で、そのときに意を決して、

「ところで、日本のお茶を飲んだことがありますか?よかったら、一服いかがですか?」

自分から言うのだから、この一言には、かなり勇気がいった。
幸いにも、彼らは、興味があると快く受け入れてくれ、一旦、ホテルに戻る。

師匠と打ち合わせたように準備をするが、手が震ってテンパりまくる。
この瞬間が一番緊張した。いろいろ説明しようにも、まったく言葉が出てこない。
もう開き直ったろ、と腹を決めて、スーパーボディランゲージで、
せっかくだから、シャカシャカ(茶筅でお抹茶を点てる)も、トライしてもらった。

「あー、なるほど、オキシゲンを入れるようにやるのね、メレンゲ作るみたいに。」
「イエス、イエス」

縮まった、距離、たぶん。
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できることは、やった。
いよいよ、ついに、満を持して、ようやく、その時がきたわけだ。

ただ、すでに最高潮の緊張を通り越したこともあって、妙に落ち着いていた。(茶の湯、万歳!)
郊外にあるが、広大な土地に、本丸は佇む。
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端から端まで、1分以上、歩く通路。
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実は、彼らとも数社、一緒に回ったが、様子が少し変わってきた。
それは、私たちの歴史や背景に導かれて形作られているジムナストプラスについて、
専門店の人たちが興味を持ったからだ。
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彼らは私たちの想いやストーリーをよく理解してくれた上で、
ファブリックメーカーである彼ら自身にも、メリットが得られる、あらゆる方法を探ってくれた。

とはいえ、もちろん課題は山積。
もっとも難題が輸送コストだというのは、分かっていながら一番腐心している。

海外は、コスト意識がとにかく高い。
あるところで線引きしたら、それを絶対に超えないし、
逆に、そこが決まらない限り、話は一向に進展しないのだ。
例え、それが、まだ交渉の入り口段階でも。
その感覚は、どの外国人と接しても共通して強く感じる。

しかしながら、今回、幸運にも現時点の結論は出ていて、私は商談で得た課題を持ち帰り、
新たな提案ができるよう、再び現場と一緒に開発を始めている。
まだハッキリと書くことはできないが、実現すれば、お互いWin-Winとなれる青写真を共有した。

レジリエンス」という言葉を最近よく耳にするが、まさにこれが必要だと思う。
スッと高く伸びていくのではなく、いくつかの困難にぶつかるとき、そこには節ができる。
そうすることで、バランスを取りながら、粘り強くいられる。

このような経験ができるのは、今までのお客様のおかげだし、
長期間の留守を守ってくれる社員や家族の存在があるからこそだ。
本当に感謝しなければならない。

だからこそ、もっと飛躍していきたい。決して諦めない。
己を、商品を、仲間を信じて、一歩、また一歩と踏み出していきたい。
元気な「おはよう!」を世界に届けるまでは!

【記念撮影】会社の裏に、創業当時の煙突が残されている。
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始まりはここからだった。クレイジーと言ってくれた。いや、言わせた?


まくらのキタムラ 北村圭介

※実は帰国して数日後、さらに巨大な会社の傘下に入ったと連絡があった。
 今後のプロジェクトの進展について懸念される。。。これも新しい「節」だな。




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