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なぜMakuraの商標を取得したのか?
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日本の「Makura」は、国益だと思っている。だから、私は、それを独占するのではなく、それを守り、その素晴らしさをキチンと世界へ広めたい。
このブログでもいくつかはご紹介している通り、私は世界の市場を3年間ほどかけて、15か国以上見てきた。そこで気づいたことは、我々の商品だけではなく、他社の商品であっても、「Makura」は、海外にある「Pillow」とは明らかに違うということ。どのように眠れるのか、に徹底的にこだわって作られていて、繊細で、とても素晴らしい。そして、1000年以上に及ぶ歴史的背景もある。
これを「Pillow」と一括りにしてはいけない。ひとつの文化として海外に伝えていくべきではないか。こう考えたからである。
2017年初め、それを紐解いていきたいと思う。
初めに、「Pillow」という単語の英英訳を見てみると、a cloth bag filled with soft material that you put your head on when you are sleeping. とある。「Soft material」ということは、そもそも「Pillow」は柔らかいものでなければならない。
また、「Pillow」を他の言語に訳すと、Cuscino(イタリア語)、Kissen(ドイツ語)、Kussen(オランダ語)と、綴りや響きが、どことなく「Cushion(クッション)」に似ている。
では、「Cushion」の英英訳はというと、a cloth bag filled with soft material that you put on a chair or the floor to make it more comfortable.
つまり、寝るときに使う「Cushion」が「Pillow」と呼ばれたのであって、2つは、ほぼ同義語として定義されている。要するに、「Pillow」の言語的背景としては、寝るためだけに使うものというより、「ベッドの上で使うCushion」から派生したと推測ができる。だから、背もたれにもなるし、抱きしめて使ったりもできて使い勝手がいい。
海外の寝具売り場、カタログを見てもわかる通り、彼らには「ベッドメイキング」の文化がある。ベッドルームを豪華に見せようとしたり、季節や気分によってシーツを変えたりする。これは家具の一つとして、ベッドが常に移動することなく、鎮座ましましているからであり、それは、視点を変えれば、デコレートしなければ、生活空間にフィットしないし、場合によって、他の誰かに見られる可能性があるからではないか。だから、メイキングを楽しんでいるのだろうと推測される。
日本の「Makura」は、国益だと思っている。だから、私は、それを独占するのではなく、それを守り、その素晴らしさをキチンと世界へ広めたい。
このブログでもいくつかはご紹介している通り、私は世界の市場を3年間ほどかけて、15か国以上見てきた。そこで気づいたことは、我々の商品だけではなく、他社の商品であっても、「Makura」は、海外にある「Pillow」とは明らかに違うということ。どのように眠れるのか、に徹底的にこだわって作られていて、繊細で、とても素晴らしい。そして、1000年以上に及ぶ歴史的背景もある。
これを「Pillow」と一括りにしてはいけない。ひとつの文化として海外に伝えていくべきではないか。こう考えたからである。
2017年初め、それを紐解いていきたいと思う。
初めに、「Pillow」という単語の英英訳を見てみると、a cloth bag filled with soft material that you put your head on when you are sleeping. とある。「Soft material」ということは、そもそも「Pillow」は柔らかいものでなければならない。
また、「Pillow」を他の言語に訳すと、Cuscino(イタリア語)、Kissen(ドイツ語)、Kussen(オランダ語)と、綴りや響きが、どことなく「Cushion(クッション)」に似ている。
では、「Cushion」の英英訳はというと、a cloth bag filled with soft material that you put on a chair or the floor to make it more comfortable.
つまり、寝るときに使う「Cushion」が「Pillow」と呼ばれたのであって、2つは、ほぼ同義語として定義されている。要するに、「Pillow」の言語的背景としては、寝るためだけに使うものというより、「ベッドの上で使うCushion」から派生したと推測ができる。だから、背もたれにもなるし、抱きしめて使ったりもできて使い勝手がいい。
海外の寝具売り場、カタログを見てもわかる通り、彼らには「ベッドメイキング」の文化がある。ベッドルームを豪華に見せようとしたり、季節や気分によってシーツを変えたりする。これは家具の一つとして、ベッドが常に移動することなく、鎮座ましましているからであり、それは、視点を変えれば、デコレートしなければ、生活空間にフィットしないし、場合によって、他の誰かに見られる可能性があるからではないか。だから、メイキングを楽しんでいるのだろうと推測される。
翻って、日本の「Makura」はどうだろうか。
過去の歴史を見ると、布を巻きつけた括り枕やパンヤや木綿を使ったりもしたが、木製だったり、そば殻だったり、決して柔らかいものだけではなかった。
加えて、日本には、「Futon」の文化が存在する。寝具を使わないときは畳んで押し入れの中にしまわれていて、そして、眠るときにわざわざ出してきて使うものだ。後述するが、誰に見せるわけでもなく、よく眠れるものである必要があった。(逆説的に、戦国時代、あまり深く眠れないように作られていたという話もあるが、たとえそれでも目的は眠るための道具である。)
過去、「Makura」に引き出しがついていて、自分の貴重品を入れたりもしたが、それは眠っている間に盗み取られないように防犯のためで、あくまで「眠るための道具」として長らく存在してきている。
さらに日本人にとって、「Makura」とは非常に関係が深い。枕を用いた言葉や慣用句も数多く存在するし、過去の文献にも度々、登場している。語源は諸説あるものの、魂の蔵(たましいのくら)が「たまくら」となり、「Makura」となった、とも言われている。
ヒトは睡眠中に、夢を見る。夢は、現世とあの世を魂が行き来すると言われていて、とても高尚な行為の一つだった。中国や韓国でも同じような思想があり、その魂が入るものは貴重に扱われ、豪華な装飾がされていた陶製の「Makura」もあった。これらは欧米の考えとしては、明らかに違っていると言えるだろう。
そういったそれぞれの経緯をまとめると、「Makura」と「Pillow」は似て非なりということが分かってもらえるはずだ。
将棋で例えれば、飛車が敵陣に入ったら龍と成るのと同じように、「Cushion」はベッドルームに持ち込まれて「Pillow」となったが、「Makura」は王将の如く、初めから「Makura」だった。(だからといって、「Pillow」がダメで、「Makura」が良いという意味ではない。)
その独自に発展を遂げてきた「Makura」を、私は、ぜひ世界に広めたいし、これを使うことによって少しでも多くの世界の人々に快眠(Good Sleep)を届けていきたい。
眠ることにこだわりをもって存在してきたのが、「Makura」である。枕草子は、The Pillow Bookとされているが、このタイトルでは外国人に本当の意味が伝わらないのだ。(その意味には諸説あり)
Fujiyama、Geisha、Sushi、Futon、Karaoke、Bento、Kawaii、といった言葉と同じように「Makura」が世界の共通語になる日が、きっと来る。その始まりは今年、2017年かもしれない。本年も、なにとぞよろしくお願いいたします。
Kitamura Makura
まくらのキタムラ
北村圭介
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北村 圭介
株式会社キタムラジャパン
代表取締役
大正12年創業の枕専門メーカー「枕のキタムラ」4代目。曾祖父から伝わる経験やノウハウを活かし、眠りに対するキタムラのエスプリを枕にしています。枕屋4代目のブログ「まくろぐ」では、枕のことがメインですが、睡眠やモノづくり、マーケティングなど独自の想うことを書きます。