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コミュニティは緊張と弛緩のバランス
「おいくつですか?」
ある食事会に参加したときのこと。
主催は、最近知り合った東北の郷土料理店を営む夫婦。
かなり個性的なお店で、こう言っては何だが、普通の人は通えない。
なにせ、ご主人のキャラが強く、飲んだ席にもかかわらず、
おそらく彼とやりあった客は、これまで何十人といるだろうし、
これからも、純増していくと思う。
一方で、見染められたコアな客も確実に獲得していく、
いうなれば、店が客を選ぶスタイルだ。
ありがたいことに、彼らに客として認めていただけた。
※写真はイメージ
さて、15名ほどが、19時に鍋物屋に集まった。
それなにりアットホームな会合っだが、知り合いが誰もいなく、
正直、普通の人は面倒だと思うかもしれない。
私も、そうは思う。
ただ、私の尊敬する人は、かつてそんな状況を一言で納めた。
「修行だから」
もちろん常連参加者からは好奇の目で新入りを値踏みしている。
その時の最初の質問は、とても興味深いものだ。
冒頭の質問は、その会で最も年下と思われる方から。
おそらく私が年下だと思ったのだろうが、彼の方が若かった。
そのとき、彼は何を思ったのだろう。2つ考えられる。
・自分のポジションは安泰だ。
・私はまだ下っ端のままか。
また左隣の方からの質問は「お仕事はなんですか」だった。
自分は変わった?仕事だから、割と話は盛り上がる方だが、
そのとき、彼は何を思っただろう。
聞けば、彼は、国立大学の教授だった。
おそらく自分の仕事に高いプライドを持っていることがうかがえる。
集団に所属することは、自分のポジションを知れることができる。
比べてどうということはないが、そういう人もいるでしょう。
同時に、その人が何を大切にしているか。
それを選択しているのではないか。
矢沢の永ちゃんは、歳が一回り以上、離れた仲間とツーリングに出ている。
実に屈託のないやりとりを繰り返しながら、
「これがあの永ちゃんなのか?」と思うが、もちろんまぎれもなく矢沢永吉なのだ。
よく自分のことを「矢沢は」と前置きをすることが取り上げられるが、
彼らの中にいて、おそらくその「矢沢」はいない。
今年引退したイチロー選手も、現役時代のオフに神戸へ帰ると
気心知れた仲間(彼らはイチロー選手のトレーニングの手伝いをしている)と汗を流し、
その夜に、焼き鳥をつまみながら、一献傾けている鈴木一朗だ。
どちらも普通のファン、いや、そうじゃなくても卒倒するような内容で、
もし公募しようものなら、応募が殺到することは間違いないが、
そんなことは、そもそも二人は求めていない。
「なんでこんな人たちと一緒に過ごすの?」
そう思わずにいられないのが本音だ。
そこには、皆の知っているスーパースター「矢沢永吉」「イチロー」ではなく、
一人の人間、男、おじさん(あえて)が、仲間と楽しんでいる姿しかない。
言わずもがな、家族とであれば、もっと違う顔を覗かせているに違いない。
その会合にも、地元じゃ知らない人はいないだろう
大きなメーカーの社長夫婦が目の前に普通にいらっしゃって、
ハイボールを浴びるほど飲んで、楽しく会話しながら、
締めの雑炊に舌鼓を打っている。
コミュニティって、実におもしろい。
どういったところに身を置くのかで、
自分をリセットしてくれたり、新たな方向へ成長させてくれたりする。
「気心知れたところ」は、気楽だし、わざわざ取り繕うこともないが、
「初めまして」は、緊張感と共に自分が何者であるかを伝えようと律する。
この料理店のつながりが、きっとまた何かをもたらしてくれることを信じて疑わない。
(単に飲みに行く理由でしょうと言われれば、その通りだが)
さて、2019年も残りあと2日となった。
例年通りに波乱に満ちた年であったが、
おかげさまでこうして何事もなく年を越えられる。
今年も一年大変お世話になりました。
2020年は、これまで以上に日本が注目される年となる。
私もできれば、一役を担いたいと願っていた。
そういうチャンスが来ないかなと思っていたら、来た!
来年は、東京にいることが多くなりそうな気がしている。
それでは、みなさん健康に気を付けて、よいお年を迎えください。
まくらのキタムラ
北村圭介
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北村 圭介
株式会社キタムラジャパン
代表取締役
大正12年創業の枕専門メーカー「枕のキタムラ」4代目。曾祖父から伝わる経験やノウハウを活かし、眠りに対するキタムラのエスプリを枕にしています。枕屋4代目のブログ「まくろぐ」では、枕のことがメインですが、睡眠やモノづくり、マーケティングなど独自の想うことを書きます。