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社長にイエスマンはいらない
今、いろいろと社内の改革をしているところで、
必要だと思う資料があり、それをある社員に伝えたときのこと。
いろいろ(熱を込めて!)説明した後に、
「それで、それを何に使うんですか?」と聞かれ、カチンとくる。
(いいから、作ってくれよ!)とノドまで出かかったが、グッとこらえた。
冷静になろう。
以前、ある勉強会で、こう教えられたことがある。
自分がお願いしたことに対して、
「社長、それの目的は何ですか」と、いちいち社員に聞かせるといい。
その答えに自分が窮するようなら、おそらくその資料は必要ない。
社員の時間を無駄に奪っている可能性がある。
俺が作れと言ったら作れ、と、社長というのは言いたくなるものだ。
ただ、これがパワーハラスメント以上に、百害あって一利もない。
自分がそれを見て、次の行動が何であるかが明確でないものは、
すべて浪費なのである。
限られた社員の、限られた時間を有効に活かす場を提供することが
零細企業の社長の役割の一つだ。
深く考えずに、何かをすること、させることは絶対に避けなければならない。
社長を満足させるために仕事をしてもらっては困る。
向くのは、あくまで「顧客(社会)」のはずだ。
社長のイエスマンが、実は会社を蝕んでいる、といったことはよく聞かれる。
また、新しい社員が、古参に、これってなんでこういう風なんですか?と尋ねても、
明確な回答はなく、昔からこうだったという常套句でもってねじ伏せられる。
こういう古参の社員のやってる感と、若い社員のやらされ感の戦いも不毛すぎる。
生産性と言われているこの世の中、改めて業務の棚卸をしてみた方がよさそうだ。
今は、アプリなども発達して、例えば帳票類はかなり効率化されている。
少ない労力で、よりタイムリーに分かることも増えた。
どんどん活用すべきだ。
自分の仕事を最適化する方法(カイゼン)は、常に考えていきたいし、
考えてくれる社員になってほしいと願うから、まずは自分がやる。
しかし、一方、それらに使われているようではいけない。
時には手書きのメッセージで気持ちが伝わる。
そこも外してはいけないだろう。
毎月、社員とパートに一筆書いて、給与明細と一緒に封入するようにしている。
先輩経営者が実践していると聞き、それをまねた。
大切なのは、その業務の目的は何か、何がゴールか、であり、
そこへ行くための方法は、決して一つではないと知ること。
下道をずっと走ってきたが、高速が開通したら30分早く着ける、というように、
ひょっとしたら、明日には変化しているかもしれないのだ。
幸い、うちには、そのあたりに厳しい社員がいてくれるからありがたい。
非常に緊張感を持って、業務に携わっている。
冒頭のやり取りは、その後、こう続く。
彼:それによって、どのレベルで、
どのくらいの熱量でやればよいかがありますから。
私:これまでそういう資料がなかったので、
ざっくりでもいいから、まずは数字をつかみたいんだ。
彼:そうすると、じゃ、細かいところはなくてもよさそうですね。
私:うん、一旦、それぞれの全体像が分かればいいんだ。
それで不足するようなら、その理由を伝えるのでもう少し掘り下げてほしい。
彼:では、ビジネスの大きい上位10社くらいからやってみましょうか。
それなら、今ある情報をまとめるだけだから、カンタンにできそうですよ。
と、さっそく取り掛かってくれ、その日のうちに資料はできあがってきて、
見ると、思い通り、知りたい内容になっている。
さっそく、私は数字を見比べた上で、いくつかの営業先へアプローチをかけた。
まくらのキタムラ
北村圭介
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北村 圭介
株式会社キタムラジャパン
代表取締役
大正12年創業の枕専門メーカー「枕のキタムラ」4代目。曾祖父から伝わる経験やノウハウを活かし、眠りに対するキタムラのエスプリを枕にしています。枕屋4代目のブログ「まくろぐ」では、枕のことがメインですが、睡眠やモノづくり、マーケティングなど独自の想うことを書きます。