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未来は不確かで、今は不安。昔はどうだ。
新元号にもなったからかと思ったが、
国内だけでなく、世界的にもこの流れがあるようだ。
ナイキのエアジョーダンやアディダスのスタンスミス、
ツーブリッジの眼鏡だったり、スカーフなんかもグッチやシャネルといった
ラグジュアリーブランドからこぞってノスタルジックなデザインが投入されている。
任天堂のファミコンの復刻や、「スタアバックス」の企画が好調と聞く。
歴史は繰り返されるというから、さほど珍しいことではないだろうが、
実は、旧態依然、超がつくほどコンサバティブな、
我々寝具市場でもこの流れがきているという。
重い木綿の布団が売れているらしい。
最先端の動きは、やはり疲れる。
電磁波が体に影響を与えることがあるし、何よりスピードが尋常じゃない。
また、5感のうち、ほぼ視覚と聴覚に限られるのと、
嗅覚、触覚、味覚、それに、無意識にあるDNAを呼び起こす6感に訴えるものが、
安らぎを与えてくれるのかもしれない。
昔の子供は、なんていうと自分が年寄みたいだが、
棒切れ1本あれば、日が暮れるまで遊べた。
そして、その記憶は、大人になっても、カンタンに消えたりはしない。
そんなこと思いながら、そういえば、大河ドラマも前回の東京オリンピックが題材。
大河が始まって以来の近現代をテーマにした物語だが、
当然、レトロ感がそこかしこに散りばめられている。
あまり視聴率が芳しくないらしいが、個人的には毎週楽しみにしている。
そこで、こんなシーンがあった。
金栗四三とスヤが一緒に眠るシーン。
一方は、熊本にある庄屋で、一方が、下宿先である足袋屋。
ちゃんと品質の違う素材の枕を使っていた。
うむ、芸が細かいぞ、NHK。
神は細部に宿る。こういうところ、見習いたい。
【熊本の庄屋のシーン】
【足袋屋「播磨屋」のシーン】
話は逸れたが、Back to Basicというか、原点回帰というか、
昔なじみのものは、心に豊かさを与えるのかもしれない。
未来は不確かだ。今も不安ばかりだ。
しかし、過去は、良くも悪くも、自分の解釈でいかようにもなる。
ある意味、唯一自制できるものだし、
何より、それを経て、自分があるから、自信にもつながる。
マインドフルネスは、今の時間も含めて
起こっている事象、抱いている感情に意味づけないようだ。
私のような一般人は、そのような考え方で常時いられない。
であれば、幸せだったあの頃を思い出す、またDNAに刻まれた記憶に
身をゆだねていくという意味では、大切なことである気がする。
プラスチックがなくても、スマホがなくても、生きていけたじゃないか。
進化するだけが脳じゃない。心地のよさは理屈や数値では推し量れないのだ。
「懐かしむ」という人間だけに許された、素晴らしい感情を享受しよう。
レトロ枕、できています。
あの頃みたいに、安心してお休みいただけます。
まくらのキタムラ
北村圭介
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北村 圭介
株式会社キタムラジャパン
代表取締役
大正12年創業の枕専門メーカー「枕のキタムラ」4代目。曾祖父から伝わる経験やノウハウを活かし、眠りに対するキタムラのエスプリを枕にしています。枕屋4代目のブログ「まくろぐ」では、枕のことがメインですが、睡眠やモノづくり、マーケティングなど独自の想うことを書きます。